割り注]訳者注 垂直壁街の意[#ここで割り注終わり])はエグランティエ街([#ここから割り注]訳者注 野薔薇街の意[#ここで割り注終わり])と言われていた、それは人が石を切る前に神は花を咲かせられたからである。
九 僧衣に包まれし一世紀
われわれはプティー・ピクプュスの古《いにしえ》のありさまを詳しく述べているのであるから、そして既にこの秘密な隠れ家《が》の窓を一つ開いて中をのぞいたことであるから、なおここにも一つ枝葉の点を述べることを許していただきたい。これは本書の内容とは没交渉のものではあるけれども、この修道院が独特な点を有することを了解せんがためには、きわめて特異な有効なものである。
小修道院に、フォントヴローの修道院からやってきた百歳ばかりの女が一人いた。彼女は革命以前には上流社会の人だった。ルイ十四世の下に掌璽官《しょうじかん》だったミロメニル氏のことや、親しく知っていたというあるデュプラーという議長夫人のことなぞを、いつもよく話していた。あらゆる場合に右の二つの名前を持ち出すことは、彼女の楽しみでもあり見栄《みえ》でもあった。またフォントヴローの修道院に関
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