全線を見回って、あちこちに立ち止まっては騎哨に言葉をかけた。二時半にウーゴモンの森の近くに、彼は一縦隊の行進する足音を聞いた。一時彼はそれをウェリントンの退却であると思った。彼はベルトランに言った。「あれは撤退するイギリス軍の後衛だ[#「あれは撤退するイギリス軍の後衛だ」に傍点]、オステンドに到着した六千のイギリス兵をわしは捕虜にしてみせよう[#「オステンドに到着した六千のイギリス兵をわしは捕虜にしてみせよう」に傍点]。」彼は豁達《かったつ》に口をきいた。三月一日上陸([#ここから割り注]訳者注 エルバ島よりフランスへの[#ここで割り注終わり])の際、ジュアン湾の熱狂してる農夫を元帥にさし示しながら、「おいベルトラン[#「おいベルトラン」に傍点]、既にかしこに援兵がいる[#「既にかしこに援兵がいる」に傍点]、」と叫んだ時のような活気を彼は再び示した。そして今六月十七日から十八日へかけた夜、彼はウェリントンをあざけっていた。「小癪な彼イギリス人に少し思い知らしてやろう[#「小癪な彼イギリス人に少し思い知らしてやろう」に傍点]、」とナポレオンは言った。雨は激しくなり、皇帝が語ってる間雷鳴は
前へ
次へ
全571ページ中42ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング