もしだれか規則に反して口を開こうものなら、長老は木の書物を開いたり閉じたりして大きな音を立てた。けれどもそういう沈黙は、十字架像の足下に設けてある小さな机の講壇で聖者らの伝記が大声に読まれることで、いくらか助かるのだった。それを読む者は、その週の当番の大きい生徒であった。むき出しのテーブルの上に所々陶器の鉢《はち》が置いてあって、その中で生徒らは自ら自分の皿や食器を洗った。時とすると、堅い肉やいたんだ肴など食い残しのものをそれに投げ込むこともあった。そうするといつも罰せられた。それらの鉢は水盤[#「水盤」に傍点]と言われていた。
 沈黙を破って口をきいた者は「舌の苦業」をなすのであった。床《ゆか》になすのであって、すなわち舗石《しきいし》をなめるのである。あらゆる喜悦の最後のものたる埃《ほこり》は、薔薇《ばら》のあわれな小さな花弁にして囀《さえず》りの罪を犯したものを、懲らしむるの役目を帯びていたのである。
 修道院のうちには、ただ一部[#「一部」に傍点]だけ印刷されていて読むことを禁じられてる書物が一つあった。それは聖ベネディクトの規則の本である。俗人の目がのぞいてはいけない奥殿であ
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