カンパン夫人は七歳の「妹」が十六歳の「姉」に言った次の言葉を引用している。その時妹の方は行列の後ろの方にいたが、姉の方は行列の先頭にいたのである。「あなたは処女でございますわね。私は処女でございませんのよ。」

     五 気晴らし

 食堂の扉《とびら》の上の方に、人をまっすぐに天国に導くためのものであって純白なる主の祈り[#「純白なる主の祈り」に傍点]と称せらるる次の祈祷《きとう》が、黒い大字で書かれていた。
「いみじき純白なる主の祈り、神自ら作りたまい、神自ら唱えたまい、神自ら天国に置きたまいしもの。夕に床に就《つ》かんとする時、三人の天使わが床に寝《やす》みいたり。一人は裾《すそ》に二人は枕辺《まくらべ》にありて、中央に聖母マリアありぬ。マリアわれに曰《のたま》いけるは、寝《い》ねよ、ためろうなかれと。恵み深き神はわが父、恵み深き聖母はわが母、三人の使徒はわが兄弟、三人の童貞女《おとめ》はわが姉妹。神の産衣《うぶぎ》にわが身体は包まれてあり、聖マルグリットの十字はわが胸に書かれたり。聖母は神を嘆きて野に出で、聖ヨハネに会いぬ。聖ヨハネよいずこよりきたれるか? われはアヴェ・
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