そのうちに老人は帽子をぬいで、震えながら叫んだ。
「まあ、マドレーヌさん、どうしてここへきなすった? いったいどこからおはいりなすった? 天から降ってでもきなすったかね。そうそう、あなたが降ってきなさるなら、天からに違いない。そしてまたその様子は! 襟飾《えりかざ》りも、帽子も、上衣も着ていなさらない。知らない人だったら魂消《たまげ》てしまいますよ。まあこの節は聖者たちも何と妙なことをなさることやら。だがまあどうしてここへおはいりなすったかね。」
 その言葉は引き続いて出てきた。田舎者《いなかもの》の早口で少しも不安を与うるものではなかった。ただ質朴な正直さと呆然《ぼうぜん》自失との入り交じった調子だった。
「君はだれですか、そしてこれはどういう家ですか。」とジャン・ヴァルジャンは尋ねた。
「まあ何ということだ!」と老人は叫んだ。「私はあなたからここに入れてもらった男で、この家はあなたが私を入れて下さった所ですよ。ええ私がおわかりになりませんかな。」
「わからない。」とジャン・ヴァルジャンは言った。「どうして君は私を知ってるんです。」
「あなたは私の生命《いのち》を助けて下さった
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