がその後しばしば言ったことであるが、彼は生涯《しょうがい》に幾度か陰惨な光景に出会ったけれども、その薄暗い場所でま夜中にのぞき見た謎《なぞ》のような人の姿が、何とも言えない不可解な神秘を行なってるありさまほどぞっとする恐ろしいものは、かつて見たことがなかった。それはたぶん死んでるのかも知れないと想像するのは恐ろしいことだったが、あるいは生きてるのかも知れないと考えるのはなおさら恐ろしいことだった。
 彼は勇気を鼓して額を窓ガラスに押し当て、それが動きはしないかをうかがった。だいぶ長い間そうしてうかがっていたが、横たわってるその形は少しも動かなかった。と突然名状し難い恐怖を感じて、彼は逃げ出した。後ろもふり返り得ないで物置きの方へ駆け出した。もしふり向いたら、後ろにはきっとその形が腕を振りながら大またに追いかけてくるのが見えるに違いないような気がした。
 彼は息を切らして小屋の所へ帰ってきた。足もまっすぐには立てなかった。腰には冷や汗が流れていた。
 いま自分はどこにいるのであろう。パリーのまんなかにこんな墓場のようなものがあろうとは、だれが想像し得られよう。この不思議な家は何だろう。夜
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