そしてすぐにコゼットの所へ戻ってきた。彼は一筋の綱を手にしていた。あらゆる手段を見いだすそれらの陰惨な人々は、運命と争うおり、急速に仕事をやってのけるものである。
 前に説明したとおり、その夜街燈はともされていなかった。ジャンロー袋町のランプももとよりほかのと同じく消えていた。でそのそばを通っても、ランプが普通の所についていないことに目をとめる者はなかったろう。
 そのうちにも、その時と場所と暗やみと、ジャン・ヴァルジャンが夢中になってることと、その異様な態度やあちらこちら飛び回ってることなどは、しだいにコゼットを不安ならしめていた。ほかの子供だったらもうよほど前から大声に泣き出していたろう。がコゼットはただジャン・ヴァルジャンのフロックの裾につかまっていた。しだいに近づいてくる巡邏《じゅんら》の兵士らの足音は、ますますはっきり聞こえていた。
「お父さん、」とコゼットは低く言った、「あたしこわい。向こうから来るのはだれなの?」
「しッ! テナルディエの上《かみ》さんだよ。」と不幸な男は答えた。
 コゼットは身を震わした。彼はつけ加えた。
「黙っておいで。私《わたし》のするままにしておい
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