る者はそれらのものを見ることができたのである。その戸みたいなものはただ壁の上につけられた木の覆《おお》いにすぎないことを、彼は狼狽《ろうばい》しながらも自ら認めざるを得なかった。板を引きはがすことは何でもなかったが、その先には更に壁があるのだった。

     五 ガス燈にては不可能のこと

 その時調子を取った重い響きが向こうに聞こえてきた。ジャン・ヴァルジャンはその街路のすみから少しのぞき出してみた。七、八人の兵士が列をなして、ポロンソー街に現われてきたところだった。銃剣の光るのが見えた。それが彼の方へやってきつつあった。
 その兵士らはジャヴェルの高い姿を先に立てて、徐々に注意して進んできた。しばしば立ち止まった。明らかに彼らは、壁のすみや戸や路地の入り口などをしらべつつやって来るのだった。
 それはジャヴェルが道で出会って助力を求めた巡邏《じゅんら》の兵士らであったろう。その推測はまちがいなかった。
 ジャヴェルの手下の二人が、その列のうちに加わっていた。
 彼らの歩調と時々立ち止まる時間とをはかってみると、ジャン・ヴァルジャンがいる所までやって来るには十五分ばかりはかかりそう
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