らんでる刈り込まれた古いぶどうの蔓《つる》をまねたものであった。
 ブリキや鉄などの枝のついたそのおかしな壁果樹が、最初にジャン・ヴァルジャンの目にとまった。彼はコゼットを車除石に背をもたしてすわらせ、黙っているように命じて、それから管が地面についてる所へ走っていった。たぶんそこから登って家の中にはいり込む方法があるだろうと思ったのである。しかし管は古くなっていて役に立たず、ほとんど壁から離れてぐらぐらになっていた。その上静まり返った建物の窓はどれも皆、屋根裏の窓でさえ、大きな鉄の格子《こうし》がはまっていた。それからまた、月の光はその正面にいっぱいさしていて、そこを乗り越えようとすれば、街路の端で見張りをしてる男に見付かる恐れがあった。それからまたコゼットをどうすればいいか? 四階の高さの家までどうして彼女を引き上げられよう。
 彼は管についてよじのぼる考えをやめて、ポロンソー街の方へ戻るために壁に身を寄せてはってきた。
 コゼットを残しておいた壁の断面の所まできた時、そこはだれからも見られないことに彼は気づいた。前に説明したとおり、そこはどちらから見ても見えないようになっていた。そ
前へ 次へ
全571ページ中326ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング