がそうとしなかった。
「どこへ行くか見届けてやれ。」と彼は言った。そして遠くから二人の跡をつけ初めた。彼の手には二つのものが残っていた、ファンティーヌの署名した紙片のにがにがしさと、千五百フランの多少の慰謝と。
 男はコゼットを連れて、リヴリーとボンディーの方へ行った。頭をたれゆるやかに足を運んで、何か考え続けてるような、また悲しげな様子だった。冬のために森は透かし見らるるようになっていたので、テナルディエはかなり後ろの方に遠くにいたがなお二人の姿を見失わなかった。時々男はふり返って、跡をつけられてはしないかをながめた。突然彼はテナルディエを見つけた。彼はにわかにコゼットとともに深い木立ちの中にはいった。そして二人の姿は見えなくなってしまった。「悪魔め!」とテナルディエは言った。そして足を早めた。
 木立ちが込んでいたので、彼は二人に近寄らなければならなかった。男は最も茂みの深い所に達した時、ふり返ってみた。テナルディエは木の枝の間に姿を隠そうとしたがだめだった。男の目につかざるを得なかった。男は不安な一瞥《いちべつ》を彼に与え、それから頭を振って、また歩き出した。テナルディエはまたそ
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