コゼットは大きな目を開いて、大空をうちながめながらしっかりした足取りで歩いていた。彼女は新しい胸掛けのポケットにルイ金貨を入れていた。時々身をかがめてはちらとそれをのぞき込み、それから老人を見上げた。彼女はあたかも神様の近くにでもいるような心地がした。

     十 最善を求むる者は時に最悪に会う

 テナルディエの女房はいつものとおり亭主のなすままに任しておいた。彼女は何か大事を予期していた。男とコゼットとが立ち去った時、テナルディエは十五分余りもじっとしていたが、やがて女房をわきに呼んで、千五百フランを見せた。
「それだけですか!」と彼女は言った。
 二人が家を持っていらい、彼女が亭主の仕事に批評がましい口を出したのは、それが初めてだった。
 それはみごとに的に当たった。
「なるほど、お前の言うとおりだ。」と亭主は言った。「ばかをやった。帽子を取ってくれ。」
 彼は三枚の紙幣を折ってポケットにつっ込み、大急ぎで出て行った。しかし彼は方向をまちがえて、初め右の方へ行った。それから近所の者に尋ねて本当の方向を知った。アルーエットと男とはリヴリーの方へ行くのが見られたそうである。彼は
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