り続いた。
けれども、非常に注意はしていたものの、コゼットは人形の片足が出ていること[#「出ていること」に傍点]に気づかなかった、そして暖炉の火がその足をはっきり照らし出してることに。影の所から出てるその薔薇色《ばらいろ》の輝いた足が、突然アゼルマの目についた。彼女はエポニーヌに言った。「あら! 姉さん!」
二人の娘は遊びをやめて呆然《ぼうぜん》とした。コゼットが大胆にも人形を取っている!
エポニーヌは立ち上がって、猫を持ったまま母親の所へ行って、その裾を引っ張った。
「うるさいね!」と母親は言った。「どうしようというんだよ。」
「お母さん、まあごらんよ!」と子供は言った。
そして彼女はコゼットをさし示した。
コゼットの方は人形を持ってることに有頂天《うちょうてん》になって、もう何にも見も聞きもしなかった。
テナルディエの上さんの顔には特殊な表情が浮かんだ。それはこの世の恐ろしさと下らなさとがいっしょになった表情で、いわゆる毒婦と称する型の表情だった。
こんどは、自尊心が傷けられたので彼女の憤怒はいっそう激しくなった。コゼットはあらゆる制限を越えていたのである。「お嬢さん
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