きるのよりもっと薄いや。とにかく葡萄は青いうちに採るに限るぜ。」
 その他種々の話。
 それからまた粉屋はこんなことを言っていた。
「俺《おれ》たちは袋の中のものに責任を負えるかい。たくさんの穀類がはいってるのを、一々より分けておられるものじゃねえ。ただ挽臼《ひきうす》の中につぎ込むばかりだ。どくむぎ、あたますき、なでしこむぎ、はとまめ、やはずえんどう、たいま、いぬすぎな、そのほかいろんなものがはいってやがるんだ。またばかに石の多い麦《やつ》があるのは言うまでもねえ。とりわけブルターニュ麦はひでえや。俺はブルターニュ麦をひくなあ全くごめんだ。釘《くぎ》のある梁《はり》を鋸《のこぎり》でひくのがいやだというが、もっといやなもんだ。そんな下等な麦で、どんな粉ができるもんか。それなのに粉の苦情ばかり言ってやがる。言う方が無理なんだ。粉が悪いったって何も俺たちのせいじゃねえんだ。」
 窓と窓との中ほどのところには、一人の草刈り人夫が地主といっしょに食卓について、春になすべき牧場の仕事の賃金を相談されていたが、彼はこんなことを言っていた。
「草がぬれるなあ悪かありません。刈りよくなるだけでさあ。
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