ろに達する。一個の兵士にすぎなかったフォアをして一個の弁舌家たらしむるのに、明日はウェリントンを使用する。フォアはウーゴモンにて倒れ、再び演壇に立ち上がる([#ここから割り注]訳者注 彼はウーゴモンに負傷したがその後ナポレオンの没落後代議士として熱弁を振った[#ここで割り注終わり])。かくのごとく進歩は振る舞う。その職工にとっては一つとしていたずらな道具はない。彼は常に一糸乱さず、アルプスをまたいだあの男を、またエリゼー小父《おじ》というあのよろめきつつゆく善良な老病者を([#ここから割り注]訳者注 ナポレオンとルイ十八世[#ここで割り注終わり])、自己の聖なる仕事に適合させる。彼は脚気病者をも征服者をも等しく利用する、外部には征服者を、内部には脚気病者を。ワーテルローは、剣による欧州諸王位の崩壊を突然止めさせながら、他の方面において革命の事業を継続させるの結果をしかきたさしめなかった。軍人の時代は去って、思想家の世となった。ワーテルローが引き止めんと欲した世紀は、その上をふみ越えて、自己の道を続けた。その不祥なる勝利は、自由のために打ち負かされた。
これを要するに、そしてまた確かに
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