って百九フラン十五スーの額に減ぜられていた。それが彼の出獄の際に渡された。
 彼はそれらのことが少しもわからなかった、そして損害を被ったのだと思った。露骨な言葉を使えば、盗まれたのだと。
 釈放せられた翌日、グラスにおいて、彼は橙《オレンジ》の花の蒸溜所《じょうりゅうじょ》の前で人々が車から荷をおろしているのを見た。彼はその手伝いをしたいと申し出た。仕事は急ぎのことだったので、働くことが許された。彼は仕事にかかった。彼は怜悧《れいり》で頑丈《がんじょう》で巧みであった。できる限り精を出した。主人は満足げに見えた。ところが彼が働いている間に、一人の憲兵が通りかかって彼を認め、彼に身元証明を求めた。で、黄いろい通行券を見せねばならなかった。そうした後に、ジャン・ヴァルジャンはまた仕事にかかった。それより少し前に彼は、そこに働いてる者の一人に向かって、その仕事で一日いくらになるかと尋ねた。その男は三十スー[#「三十スー」に傍点]であると答えた。彼は翌朝にはまた道をすすまねばならなかったのでその夕方、蒸溜所の主人の前に出て、金を払ってくれるように願った。主人は一言も口をきかないで、ただ二十五ス
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