台の一つを自分の手に取り、一つを客に渡し、そして言った。
「さあ、あなたの室に御案内しましょう。」
男は彼の後ろに従った。
上に述べた所によってわかるとおり、その家の構造は、寝所のある礼拝所にゆき、またはそこから出て来るには、司教の寝台を通らなければならないようになっていた。
彼らがその寝室を通る時にちょうど、マグロアールは寝床の枕頭《まくらもと》にある戸棚に銀の食器をしまっていた。それは毎晩彼女が寝に行く前にする最後の仕事であった。
司教は客を礼拝所の寝所に導いた。白く新しい寝床ができていた。男は小卓の上に燭台を置いた。
「それでは、」と司教は言った、「よくお寝《やす》みなさい。あしたの朝はお出かけの前に、家の牝牛《めうし》から取れる乳を一杯あたたかくして差し上げましょう。」
「ありがとうございます。」と男は言った。
その和《やわら》ぎに満ちた言葉を発したかと思うと、彼は突然そしてだしぬけに、一種異様な身振いをした。もし二人の聖《きよ》き婦人がそれを見たなら、おそらく慄然《りつぜん》として縮み上がったであろう。その時男がどういう感情に駆られたのかは、今もってわれわれにもよく
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