ものはそうしたものです。」
 彼が話している間に、司教は立っていってあけ放しになってる戸をしめた。
 マグロアールは戻ってきた。彼女は一人分の食器を持ってきてそれを食卓の上に置いた。
「マグロアールや、」と司教は言った、「その食器をできるだけ暖炉の近くに置きなさい。」そして彼は客人の方へふり向いた。「アルプスの夜風は大変きびしいです。あなたはきっとお寒いでしょう。」
 司教がそのあなた[#「あなた」に傍点]という言葉を、優しい重みのある、いかにも上品な声で言うたびごとに、男の顔は輝いた。囚人に対して言わるるあなた[#「あなた」に傍点]という言葉は、メデューズ号の難破者([#ここから割り注]訳者注 一八一六年に起こった最も悲惨な難破船[#ここで割り注終わり])に対する一ぱいの水のごときものである。はずかしめらるる者は他人の尊敬に飢えている。
「このランプは、」と司教は言った、「あまり明るくないな。」
 マグロアールはその意味を了解した。そして閣下の寝間の暖炉の上から二つの銀の燭台《しょくだい》を取ってきて、それにすっかり火をともして食卓の上に置いた。
「司祭さん、」と男は言った、「あなた
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