めてくれないんです。」
「それではシャフォー街のあの男の家に行ったかね。」
 男はますます当惑してきた。彼はつぶやいた。
「そこでも泊めてもらえないんです。」
 農夫の顔には疑惑の表情が浮かんだ。彼はその新来の男を頭の上から足の先までじっとながめた。と突然身を震わすようにして叫んだ。
「お前さんは例の男ではあるまいね……。」
 彼は男をじろりとながめて、後ろに三歩|退《さが》って、テーブルの上にランプを置き、そして壁から銃を取りおろした。
 その間に、「お前さんは例の男ではあるまいね[#「お前さんは例の男ではあるまいね」に傍点]……」という農夫の声をきいて、女も立ち上がり、両腕に二人の子供を抱いて、急いで夫の背後に隠れ、胸を露《あら》わにびっくりした目つきをしてその見知らぬ男をこわごわながめながら、低く田舎《いなか》言葉で「どろぼう[#「どろぼう」に傍点]」とつぶやいた。
 それらのことは、想像にも及ばないほどわずかな間に行なわれたのだった。主人はあたかも蝮《まむし》をでも見るように例の男[#「例の男」に傍点]をしばらくじろじろ見ていたが、やがて戸の所へきて言った。
「行っちまえ。」

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