れる必要をもってるそれらの人々を、彼は軽蔑《けいべつ》せざるを得なかった。彼らがその法則に服従するということを許し得ても、その法則は自分には適用してもらいたくないと宣言したかった。そのうえ、圧迫された弱者らは同情さるべきであるとしても、彼らが圧迫者となる場合には全然そうでなくなるのだった。クリストフは先ごろ、孤立した善良な人々に向かって「結合せよ!」と叫んでいたけれど、初めて善良な人々の結合の中にはいると、不快な感じを覚えさせられた。その結合の中には、それほど善良でもないくせに、善良な人々のもってる権利や力を身にになって、しかもそれを濫用せんとしてる者らが、いっしょに交じってるのだった。もっともよき人々、クリストフが愛してる人々、彼が家の中[#「家の中」に傍点]で各階で出会った友人らは、それらの戦闘組合を少しも利用してはいなかった。彼らはあまりに心が精緻《せいち》でありあまりに内気だったので、それらの組合に不快を覚えさせられていた。彼らはだれよりも第一に、それらの組合から押しつぶさるべき運命をもっていた。彼らは労働運動にたいしては、オリヴィエと同じ地位に立ってるのだった。オリヴィエの同
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