ってはいなかった。しかもなお、背骨を折りくじこうとする眼に見えぬ敵と、取っ組み合って争っていた。天使と闘うヤコブに似ていた。彼はその争闘からもう何にも期待してはいなかった。ただ終局をのみ期待していた。そしてなお争闘しつづけた。そしてこう叫んでいた。
「さあ俺《おれ》を打ち倒せ! なぜ俺を打ち倒さないのか?」
日々が過ぎていった。クリストフは戦いから脱して、まったくもぬけの殻《から》となっていた。それでも彼はなおつっ立っていて、出かけて歩き回った。生気の欠けてるおりに強健な種族から支持される人々は幸いである。父や祖先の足が、将《まさ》に崩壊せんとしてるこの息子《むすこ》の身体をささえていた。頑健《がんけん》な父祖の支力が、あたかも馬が騎士の死体を運ぶように、くじけたこの魂を支持していた。
彼は両方に谷を控えた頂上の道を歩いていった。萎縮《いしゅく》した小さな樫《かし》の節くれだった根が匐《は》い回ってる、石のとがった狭い小径《こみち》を降りていった。どこへ行くのかも知らなかった。しかも明瞭《めいりょう》な意志に導かれてるものよりもいっそう確かな歩調だった。彼は眠っていなかった。数
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