との総和を減ぜんとすることにあらねばならぬ。それが人間の第一の務めである。
そういう考えが、平素はクリストフの心の底に埋もれていた。彼はそのことを考えようとはしなかった。なんの役にたつものか? 自分に何ができるものか? 彼に必要なのは、クリストフたることであり、自分の仕事を完成することであり、いかにしても生きることであり、弱者を犠牲にしても生きることであった……。彼みずから世界を作ったのではなかった……。そんなことは考えないがいい、考えないがいい……。
けれども、不幸のために彼もまた敗者のうちに投げ込まれてからは、それを考えざるを得なかった。以前オリヴィエが、無益な悔恨に沈み込み、人間が受けたり与えたりしてる不幸にたいして、いたずらな憐憫《れんびん》に沈み込んでいるのを、彼はとがめたことがあった。ところが今では、彼はオリヴィエ以上になっていった。強い性質に駆られて、世界の悲劇の奥底へまではいり込んだ。世の中のあらゆる苦悩を苦しみ、あたかも皮膚を剥《は》がれたようになっていた。動物のことを考えると、苦悶の戦慄《せんりつ》を覚えざるを得なかった。自分と同じような魂を、口をきくことのでき
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