ねてきた。彼は寺院で番人の役目をしていた。勤行《ごんぎょう》の時間には、柄の曲がった籐杖《とうづえ》にもたれて、黒い線と銀の総《ふさ》のある白い腕章をつけ、教会堂の入り口に見張りをしてる、彼の姿が見受けられた。彼の職業は棺桶《かんおけ》屋で、ザーミ・ヴィッチという名前だった。ごく背が高く、痩せていて、頭を少しかがめ、老農夫みたいな真面目《まじめ》な無髯《むぜん》の顔だった。彼はごく信心深かった。そして教区内のあらゆる人の魂についての風説を、ほとんど一つ残らずことごとく知っていた。ベービとザーミとは結婚するつもりでいた。二人はたがいに相手のうちに、真面目な美点や堅固な信仰や悪賢さなどを見てとっていた。しかし彼らは急いできめてしまおうとはしなかった。たがいに用心深く観察し合っていた。――最近にザーミの来訪はいっそう繁《しげ》くなってきた。彼は人に知られないうちにはいって来た。アンナが台所の近くを通りかかるといつも、炉のそばにすわってるザーミと、その数歩わきで仕事をしてるベービとが、ガラス越しに見えていた。二人がいくら話をしようと、少しもその声は他へ聞こえなかった。ベービの陽気な顔と動いてる
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