良心なんかはどうだって構わないが、ブラウンには何にも知らしてはいけないと叫びたてた。
彼女はその冷酷な言葉にもかかわらず、クリストフと同じようにブラウンのことを多く考えていた。夫にたいする真の情愛はもっていなかったけれど、やはり夫に執着していた。二人でうち建ててる社会的|連繋《れんけい》と義務とについて、敬虔《けいけん》な尊敬をいだいていた。妻たる者は善良にしていて夫を愛すべきものだとは、おそらく考えてはいなかったろうけれど、自分は世帯の務めを残らず果たしてかつ夫に忠実でなければならないと、彼女は考えていた。自分のようにその義務を欠くことは、卑しむべきことのように彼女には思えた。
そしてクリストフよりもよく彼女は、やがてブラウンにすべてがわかるに違いないということを知っていた。そして、クリストフの悩みを増させたくないためか、あるいはむしろ高慢の心からか、彼女がそのことをクリストフに隠しておいたのは、多少ほむべきことであった。
ブラウンの家はきわめて外部との交渉が少なく、その中で行なわれてる通俗な悲劇はきわめて秘められていたけれど、その多少はすでに外部へ伝わっていた。
この町で
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