う、と彼はよく知りつくしていた。ブラウンはいかに心がくじけることだろう!……どんな眼でクリストフをながめるだろうか! クリストフはその眼の非難に立ち向かい得ない気がした。――そして、おそかれ早かれブラウンは知るにきまっていた。すでにもう何かを疑ってはいなかったろうか。クリストフは二週間の不在のあとにふたたび会ってみて、彼の様子の変わったのに心を打たれた。もうそれは同じブラウンではなかった。その快活は消えてしまっていた、もしくはどこかわざとらしい点があった。食卓では、口もきかず物も食べずランプのように燃えつきかけてるアンナのほうを、じろじろぬすみ見ていた。そして気おくれのした痛々しい親切さで、なんとか彼女の世話をやこうとした。彼女はそれらの注意を手ひどくしりぞけた。すると彼は皿の上に顔を伏せて黙った。食事の最中に、アンナは息苦しくなって、ナプキンを食卓の上に放り出して出て行った。あとに残った二人は、黙々として食事を済ました。もしくは済ましたふうを装った。二人は眼もあげかねた。食事が済むと、クリストフは出て行こうとした。ブラウンはその腕をふいに両手でとらえた。
「クリストフ!……」と彼は言
前へ 次へ
全367ページ中279ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング