拗《しつよう》に伏せられていた彼女の眼は、また見開かれて、クリストフの上に焼きつくすような炎を注いだ。クリストフはその打撃を眼の中に受けてよろめいた。彼の言おうとすることはすべて一挙に打ち消された。二人はたがいに進み寄って、ふたたび抱きしめた……。

 宵闇《よいやみ》が広がっていた。二人の血はなお唸《うな》っていた。彼女は寝床の上に横たわって、上衣をはねのけ、両腕を広げ、体を覆《おお》おうとの様子さえしなかった。彼は枕《まくら》に顔を埋めて呻《うめ》いていた。彼女は彼のほうへ身を起こし、彼の顔をあげさして、その眼や口を指先で撫《な》でさすった。自分の顔をさし寄せて、彼の眼の中をじっとのぞき込んだ。その彼女の眼は、湖水のように深々としていて、苦悶《くもん》をそちのけにして微笑《ほほえ》んでいた。良心は姿を消した。彼は口をつぐんだ。戦慄《せんりつ》が大波のように二人を揺り動かした……。
 その夜、クリストフは自分の室にもどって一人きりになると、自殺しようという考えを起こした。
 つぎの日、彼は起き上がるとすぐにアンナを捜した。今はもう彼のほうで彼女の視線を避けていた。彼女の眼に出会うと、
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