たときや、意外の機知で推測がそらされるときには、はたと手をたたいた。クリストフは書き終えると、それを音楽家どものところへもっていった。彼らは己が仕事に通じてるりっぱなシュワーベン人だった。つまずかずに演奏していった。その節《ふし》は感傷的なかつ道化《どうけ》た気分のもので、あたかも哄笑《こうしょう》で句読づけられたかのようなごつごつした律動《リズム》をもっていた。その強烈な滑稽味にはとても抵抗できなかった。足が自然と踊り出してくるのだった。アンナはロンドの中に飛び込み、手当たりしだいに二つの手をとらえ、気でも狂ったように踊り回った。鼈甲《べっこう》の留め針が髪からぬけ落ちた。房々とした髪がほどけて頬にたれ下がった。クリストフは彼女から眼を放さなかった。そしてその強健な美しい動物に感嘆した。それは今まで、無慈悲な規律に縛られて、沈黙と不動とを守っていたのである。彼には彼女が、今までだれも気づかなかったような女に見えてき、力に酔った酒神|巫女《みこ》とも言えるその仮面に、ちょうどふさわしい女に見えてきた。彼女は彼を呼んだ。彼は彼女に駆け寄ってとらえた。二人は踊りに踊って、踊り回りながら壁に
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