、ふたたび笑って、こう言葉を結んだ。
「それは馬鹿げたことなんです、いけないことなんです。」
 彼は冗談に言った。
「では恐《こわ》くなかったんですね。」
「何が?」
「神の罰を受けるのが。」
 彼女の顔は冷たくなった。
「そんなことを言ってはいけません。」と彼女は言った。
 彼は話頭を転じた。先刻争いながら彼女が示した力をほめた。彼女はまた信頼の表情に返って、小娘時代の乱暴を話した――(彼女は「腕白小僧時代の……」と言った。というのは、彼女は子供のころ、男の児《こ》の遊びや喧嘩《けんか》にはいりたがっていたから。)――あるときなんかは、自分より首だけ背の高い男の友だちといっしょになって、突然|拳固《げんこ》を食《くら》わした。きっと返報されることと思っていた。ところがその男の児は、彼女になぐられたと喚《わめ》きながら逃げていった。またあるときは、田舎《いなか》で、草を食ってる黒牛の背中によじ登った。牛は驚いて、彼女を樹木にたたきつけた。危うく死ぬところだった。また彼女は、二階の窓から飛べやしないと自分で思ったために、かえってそれをほんとうにやってみた。幸いにもちょっと身体をくじいただ
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