手紙はマヌースからのだった。その文面によれば、彼らが前日、彼の出発を早めさせるためにその不幸を彼に隠したのは、オリヴィエの志望に従ったばかりだった。オリヴィエは望んでいた、彼が助かることを――彼が居残っていても、それはなんの役にもたたなくて、ただ彼も同じく身を滅ぼすことになるばかりだ――友の記憶のために、また他の友人らのために、また自身の光栄のために、彼は生き存《ながら》えなければならないのだ……その他種々。オーレリーも太い震えた筆跡で二、三行書き添えていた、憐《あわ》れな御方の世話をしてあげるつもりだと……。
クリストフは我に返ったとき、激しい憤りを覚えた。マヌースを殺したかった。彼は停車場へ駆け出した。旅館の玄関はがらんとしており、街路はひっそりしていた。帰り遅れたわずかな通行人らも、狂った眼つきをし息をはずましてる彼を、夜の暗みに見分けなかった。彼はあたかもブルドッグがその牙《きば》でかみつくように、自分の一念にしがみついていた。「マヌースを殺すんだ、殺すんだ!……」彼はパリーへもどろうとした。夜の特急列車はもう一時間も前に発車していた。翌朝まで待たなければならなかった。
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