。
彼は言った。
「じゃ、さよなら。」
レーネットのやさしい声が言った。
「さようなら。」
彼は軽い心地になって帰っていった。レーネットから許されたらしいのがうれしかった。そして心の奥底では、一人の娘が自分のために苦しい思いをしたことも、人の弄《なぶ》り者となってる少年には不快ではなかった。
オリヴィエは自分の隠れ家に立ちもどってしまった。クリストフもやがて彼といっしょになった。まさしく二人の場所は社会的革命運動の中にはなかった。オリヴィエはそれらの闘士の仲間にはいることができなかった。そしてクリストフもそれを欲しなかった。オリヴィエは弱者被迫害者の名によって彼らから離れた。クリストフは強者独立者の名によって離れた。しかし二人は、一人は船首へ一人は船尾へ、共に引き退きはしたものの、労働軍と社会全体とを運んでる同じ船にやはり乗っていた。自由で自分の意志を確信してるクリストフは、挑発《ちょうはつ》的な興味で、無産者らの同盟を見守っていた。民衆の酒樽《さかだる》に浸るのがうれしく、そうすると気が和らいだ。前よりいっそう快活に清新になってその酒樽から出て来た。彼はなおコカールとの交際
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