けるのと、同じくらい残忍なことである、と彼はみずから言った。そしてきれいな眼をしてるレーネットのことを想《おも》った。自分がそのきれいな眼を泣かしたことを考えた。すると堪えがたい気特になった。彼は引き返して、紙屋の家へ行った。窓はまだ半ば開いていた。彼はそっと頭を差し込んで、低い声で呼んだ。
「レーネット……。」
彼女は返辞をしなかった。
「レーネット。堪忍しておくれよ。」
レーネットの声が暗闇《くらやみ》の中から言った。
「意地悪! 私|大嫌《だいきら》いよ。」
「堪忍しておくれ。」と彼は繰り返した。
彼は口をつぐんだ。それから突然ある勢いに駆られて、前よりいっそう声低く、心乱れてやや恥ずかしげに、彼は言った。
「レーネット、ねえ、僕もお前と同じように、神様を信じるよ。」
「ほんとう?」
「ほんとうだ。」
彼はそのことをことに寛大な気持から言ったのだった。しかし言ってしまったあとでは、多少信じていた。
二人は言葉もなくじっとしていた。たがいの顔は見えなかった。戸外は美しい夜だった。不具の少年はつぶやいた。
「死んだらどんなにいいだろう!」
レーネットの軽い息の音が聞こえた
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