説や無味な奇跡的物語――あるいは、母親が愚かにも彼女の手へ渡してくれる、日曜新聞の着色|插絵《さしえ》付きの犯罪談など、そんなものを読むこともめったになかった。編み物の網目を一つこしらえることもめったになくて、そんな仕事のほうによりも、親しいある聖者やまた時には神様とまでもかわす会話のほうに、より多く注意を向けて唇《くちびる》を動かしていた。いったい聖者や神様の訪れを受けるにはジャンヌ・ダルクのような者でなければならない、などと思ってはいけない。われわれも皆その訪れを受けてるのである。ただ普通に、それら天国からの訪問者たちはわれわれの炉のそばにすわって、われわれだけに口をきかして、自分では一言も言わないものである。レーネットは訪問者たちのそういう態度を気にかけようとはしなかった。一言も発しない者は同意してるのである。そのうえ彼女は自分のほうにたくさん言うことがあったので、ほとんど彼らに答える隙《すき》を与えなかった。自分が代わりに答えていた。彼女は無言の饒舌《じょうぜつ》家だった。母親から快弁を受け継いでいた。しかしその饒舌は、小川が地下に没するように、内心の言葉となって胸中に潜んでい
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