り」、第3水準1−93−84]《ふいご》のようにそれらを迸《ほとばし》り出させる。それが民衆の思想である。煙と火との集まり、火花の雨であって、消えては燃え燃えては消える。しかし晩とするとその火花の一つが、風に吹き送られて、有産階級の豊富な藁堆に火災を起こさせる……。
オリヴィエの尽力でエマニュエルはある印刷所にはいることができた。それは子供の希望だった。祖父もそれに反対はしなかった。彼は孫が自分より物識《ものし》りになるのを喜んでいた。そしてまた、印刷所のインキにたいして尊敬をいだいていた。ところでこの新しい職業では、前の職業にいるときより仕事はいっそう骨が折れた。しかし少年は多くの職工の間に交じって、祖父のそばに一人で店にいたときよりも、いっそう自由に考えることができるような気がした。
いちばんうれしいのは昼食のときだった。往来のちょっとした飲食店や町内の酒屋などにはいってゆく労働者の人|雪崩《なだれ》から離れて、彼は近くの辻《つじ》公園のほうへとぼとぼと逃げ出していった。そしてそこで、一|房《ふさ》の葡萄《ぶどう》を手にもって踊ってる半羊神の青銅像のそばの、大栗の木陰のベンチに
前へ
次へ
全367ページ中101ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング