を考えてるんだ。」
「なあに、」とオリヴィエは言った、「僕は君のことを考えてたんだ、しかも……。」
彼は言いやめた。
クリストフは笑いながら、その文句を終わりまで言ってやった。
「……しかも、それでたいへん悲しい心地になってたのだ……。」
クリストフは結婚式のために、りっぱな、ほとんど優美なとも言えるほどの身装《みなり》をした。宗教上の式はなかった。オリヴィエは宗教に無関心だったし、ジャックリーヌは宗教に反感をもってたので、共にそれを望まないのだった。クリストフは区役所の式のために交響曲《シンフォニー》の一節を書いておいた。けれど法律上の結婚式がいかなるものであるかを知ると、最後の間ぎわにそれを引っ込めてしまった。彼はそういう儀式を滑稽《こっけい》だと思ったのだった。それらの儀式を信ずるには、信仰と自由とをともに失っていなければいけない。真のカトリック信者があえて自由思想家になる場合には、それは戸籍吏を牧師たらしむるためにではない。神と自由意識との間には、国家という宗教を入れる余地は存しない。国家はただ人を登録するだけであって、結合させるものではない。
オリヴィエとジャックリ
前へ
次へ
全339ページ中84ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング