に満ちた眼をぬすんで、つぎのような詩句を、その教師がある日見つけて息がつまるほどびっくりした詩句を、帳面に書き散らした。
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おう吾《われ》をして、吾《われ》をして、汝《なんじ》をかき抱《いだ》かしめよ、
汝の接吻《せっぷん》のうちに、物狂わしき恋を吸わしめよ、
一滴また一滴と、幾久しく!……
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彼女たちの通ってる学校は、ごくはやっていた。教師はみな大学の先生だった。彼女たちはそこに感傷的な憧憬《どうけい》心の使い道を見出した。少女らのほとんどすべては、自分の教師に恋していた。教師が若くてさほど醜くなければ、彼女らの心を奪うに十分だった。彼女らは先生からよく思われようとして、天使のようになって勉強していた。試験のときに、先生から悪い点をもらうと涙を流した。先生から讃《ほ》められると、赤くなったり蒼《あお》くなったりして、感謝に満ちた婀娜《あだ》っぽい流し目を注いだ。先生から一人別に呼ばれて、助言されたり称賛されたりすると、それこそ有頂天だった。彼女らの気に入るためには秀才たるの必要はなかった。体操のときに、その教師から両腕に抱かれてぶら
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