ら払ってたほどです。ああ、進歩をし地位が上るその一足ごとに、私は自分の肉体で代価を払いました。仲間の者や、主事や、座元や、座元の友だちなどが……。」
彼女は口をつぐんだ。色|蒼《あお》ざめ、唇《くちびる》をきっと結び、乾《かわ》いた眼つきをしていた。しかし彼女の魂が血の涙を流してることは感ぜられるのだった。一瞬の閃《ひら》めきのうちに、彼女は、それらの恥ずかしい過去のことを、また自分を支持してくれた激しい征服意志のことを、はっきり思い浮かべた。その征服意志は、堪え忍ばなければならない新しい汚行ことに、ますます激しくなっていった。彼女は死を希《ねが》いたかった。しかし恥辱のさなかに斃《たお》れてしまうのは、あまりに忌まわしいことだった。勝利の前に自殺するも、勝利の後に自殺するも、それは構わない。しかしながら、身を汚してその代償を得ないうちは、けっして……。
彼女は黙っていた。クリストフは憤慨して室の中を歩き回った。この女を苦しめ汚したその奴らを、打ち殺してしまいたかった。それから彼は、憐《あわ》れみ深く彼女をながめ、彼女のそばにたたずんで、その頭を、顳※[#「需+頁」、第3水準1−9
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