こう言うかのようだった。
「君たちには、何にもわからないのだ……。」
 ジャックリーヌのやや不機嫌《ふきげん》そうな専心的なきれいな顔の上に、またオリヴィエの楽しげなぼんやりしてる眼の中に、つぎの思いが読み取られるのだった。
「僕らがいかに君たちをうるさがってるか、少しは察してくれてもよさそうなものだ……。いつになったら僕らは二人きりになれることかしら?」
 彼らは人中にいるときでさえ、無遠慮に二人きりの心持を様子に示した。他人との会話をそちのけにして二人の眼つきが話を交えてるのが、傍《かたわ》らから見てとられた。彼らはたがいに顔をながめなくとも、たがいに見てとることができた。そして彼らは微笑《ほほえ》んでいた。二人とも同時に同じことを考えてるとわかっていたのである。社交的な多少の束縛を脱して、ほんとに二人きりになるときには、喜びの叫びを発して、子供らしい馬鹿げたことをしつくした。あたかも七、八歳の子供のようだった。ばかばかしい口のきき方をした。おかしな愛称で呼び合った。彼女は彼のことを、オリーヴ、オリヴェー、オリファン、ファニー、マミー、ミーム、ミノー、キノー、カウニッツ、コジーマ、
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