純に書きたまえ。現代の芸術家らの力を疲憊《ひはい》さしてる、繊細な技巧などに気をもまないようにしたまえ。君は万人に話しかけるのだ。万人の言葉を用いたまえ。言葉には高尚も下等もないのだ。言うべきことを正確に言ってるか言っていないかがあるばかりだ。君が作るあらゆるものに君の全部をこめたまえ。自分の考えてることを考え、自分の感じてることを感じたまえ。君の心の律動《リズム》が君の書くものを奪い取るようにしたまえ。文体とは魂にほかならないのだ。」
オリヴィエはクリストフの説を承認した。しかし多少皮肉な答えをした。
「そういう作品はなるほどりっぱなものではあろう。しかしそれは、それを読み分け得る人々のもとまでは達しないだろう。途中で批評界のために窒息させられるかもしれない。」
「それこそフランスのつまらない市井的な考えだ。」とクリストフは答え返した。「自分の書物について批評界がどう考えるか、そんなことを気に病むのか!……君、批評家というものは、勝利か敗北かを書き止めるために存在してるばかりなんだ。ただ勝利者になりたまえ……。僕は批評家などはなしで済ませる。君も批評家なしに済ませる道を学びたまえ…
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