も、芸術のうちに表白してる宗教的信念によって他人と結合していた。ヘンデルやモーツァルトは、自然の勢いによって、自分のためにではなく公衆のために書いていた。ベートーヴェンでさえも、群衆を相手にせざるを得なかった。それは仕合わせなことである。人類はときどき天才に向かって言ってやるがよい。
「汝《なんじ》の芸術のうちには、俺《おれ》のためのものは何があるか。もし何もないとすれば、消え失《う》せてしまえ!」
そういう拘束に会って天才は第一に利するところがある。もちろん、自己をしか表現しない大芸術家もいる。しかしもっとも偉大なのは、万人のために鼓動する心をもった人々である、生きたる神を面と向かって見ようと欲する者は、自分の思想の空虚な蒼空《あおぞら》のうちにではなしに、人間にたいする愛のうちに、それを捜し求むべきである。
当時の芸術家らは、そういう愛から遠く離れていた。彼らが物を書く対象は、自惚《うぬぼ》れが強く無政府主義的で社会生活から根こぎにされたいわゆる優秀者どもであり、自分以外の人間の熱情を分有しないことを光栄と心得、またはそれをもてあそんでる、いわゆる優秀者どもであった。他人に似な
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