、りっぱな思想を胸にいだき、日々の克己《こっき》をつとめてる――それこそ、フランスに常に存在していた小さな教会――数の上では小さいが魂から言えば偉大な教会であって、ほとんど世にも知られず表面に現われる働きもしないけれど、しかもフランスのすべての力なのだ。優秀者と自称してる者どもがたえず腐敗し更新してゆくに引き変え、その力のみは黙々として永続してるのだ……。幸福ならんがために、いかにもして幸福ならんがために、生きてるのではなくて、自分の信念を果たさんがために、もしくは信念に奉仕せんがために生きてる、一人のフランス人を見出したら、君は定めて驚くだろう。ところが実際、僕のような、そしてもっと価値があり、もっと敬虔《けいけん》であり、もっと謙譲である、たくさんの人々がいて、一つの理想に、応《こた》えもしない神に、死ぬるまで撓《たわ》むことなく奉仕してるのだ。倹約で几帳面《きちょうめん》で勤勉で平静で、心の底には炎が眠ってる、細民階級――貴族の利己心に対抗しておのが「国土」を守護した犠牲的な民衆、眼玉の青い老ヴォーヴァン、それを君は知らないのだ。君は民衆を知らず、真の優秀者を知らないのだ。われわ
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