》持ちをして、幾何《いくばく》の金をもらってるかを――(もちろんまったくの中傷ではあろうが)――話し合った。その批評家は正直者であった。一度約束をするとそれを忠実に果たした。しかしその大なる手腕は――(彼らの言うところによれば)――幾度も初回興行があるように、上演作をできるだけ早くやめさせるような讃《ほ》め方をすることであった。その話《コント》――(もしくは金額《コント》)――に皆大笑いをしたが、だれも驚く者はなかった。
そういう話の間々に彼らは、たいそうな言葉を口にしていた。「詩」のことを話したり、「|芸術のための芸術《ラール・プール・ラール》」の話をしていた。騒がしい収入問題の中ではそれが、「|金銭のための芸術《ラール・プール・ラルジャン》」と響いていた。クリストフは、フランス文学の中に新しくはいってきたこの周旋人的な風習に、不快の念を覚えた。彼は少しも金銭問題がわからなかったので、議論を傾聴するのをやめてしまった。その時、彼らは文学談を、――あるいはむしろ文学者談を――始めた。そしてヴィクトル・ユーゴーの名前が聞こえたので、クリストフは耳をそばだてた。
それは、ユーゴーがその
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