書から受けた印象に劣らず不快なものであった。頭脳的|売淫《ばいいん》の同じ精神が、至るところに支配してるようであった。
 この快楽の商人のうちに、二派あった。その一つは、おめでたい旧式で、国民式であって、無遠慮な賤《いや》しい快楽、醜悪や貪欲《どんよく》や肉体的欠陥などの喜び、半裸体の人々、兵卒小屋の冗談、羹物《あつもの》や赤|胡椒《こしょう》や油の乗った肉や特別室――ふざけきった四幕のあとで、事件の錯綜《さくそう》によって、欺こうとしてる夫の寝床に正妻がはいるようなことになって、法典の勝利をもたらすがゆえに――(法律が救わるれば美徳も救われるというのだ)――彼らの言葉に従えば、卑猥《ひわい》と道徳とを和解させんとする「男らしい淡泊《たんぱく》さ」――結婚に淫蕩《いんとう》の様子を与えながら結婚を保護する放逸な貞節さ――いわゆるゴール風なのであった。
 他の一派は、近代式[#「近代式」に傍点]であった。前者よりはるかに精練されてるとともに、またより嫌味《いやみ》なものであった。パリー化されたユダヤ人ら(およびユダヤ化されたキリスト教徒ら)が芝居にうようよはいり込んで、衰退した世界主義の
前へ 次へ
全387ページ中142ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング