ーヴル美術館の絵画やオペラ座の壁画などをもち出していた。クイプやボードリーやパゥル・ポッテルなどを音楽に取り入れていた。傍注の助けによって、あるいはパリスの林檎《りんご》が、あるいはオランダの旅宿が、あるいは白馬の臀《しり》が、認められるのだった。それがクリストフには大きな子どもの戯れとしか思われなかった。形象にばかり興味をもち、しかも自分で絵を書くことができないので、頭に浮かぶものをすべて手帳に書き散らして、その下に太い文字で、これは人家もしくは樹木の絵であると、無邪気に書きつけてるのだった。
 耳で物を見るそれらの盲目な絵かきのほかに、また哲学者らもいた。彼らは音楽のうちに、形而《けいじ》上の問題を取り扱っていた。彼らの交響曲《シンフォニー》は、抽象的な主義の戦いであり、ある象徴もしくは宗教の解説であった。また同じく歌劇《オペラ》の中では、現在の法律的社会的問題の研究に取りかかっていた。婦人および公民の権利を宣言していた。離婚問題、実父調査、教会と国家との分離、などを平気で取り扱っていた。彼らは二派に別れていた。俗衆的象徴主義者と僧侶的象徴主義者とだった。紙屑《かみくず》屋の哲学者
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