たのかもうわからない。作品のうちに自分の姿を認めることもなかなかできない。それはほとんど見知らぬ者である。できるならば忘れてしまいたくなる。しかも、作品が発表されるか演奏されるかしないうちは、世の中の独自の生活を得ないうちは、忘れることは不可能である。そうなるまでは、作品は母体に結びつけられてる赤児《あかご》であり、生きた肉体に鋲《びょう》付けされてる生けるものである。生きんがためには、それを切断しなければいけない。クリストフが多く作曲すればするほど、彼から生まれ出て生きることも死ぬこともできないでいるそれら生物の圧迫が、彼のうちに増大していった。だれがこの圧迫から彼を解放してくれるであろうか。一つの人知れぬ力が、それらの彼の思想の児らを突き動かしていた。風に運ばれて宇宙に広がる根強い種子のように、それらは彼から離れて他の魂の中に広がろうと、むりやりに切望していた。クリストフは無生産のうちに閉じこもっていなければならないのであろうか? そんなことだったら彼は憤激するに違いなかった。
あらゆる出口は――芝居も音楽会も――彼にたいして閉ざされていたし、また彼は、一度拒絶された支配人らに新
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