出で、中庭を横ぎり、家へ帰りついた。歯をかち合わしていた。家の扉《とびら》を開くと、母は彼の顔つきと身震いとに恐れ驚いた。彼は母を避け、少しも問いに答えなかった。自分の室に上がって行き、扉を閉《し》め切り、そして寝た。非常に身体が震えていて、着物を脱ぐこともできなかった。息切れがして、手足にまるで力がなかった。……ああ、もう何も見ず、何も感ぜず、この惨《みじ》めな身体を維持する要もなく、卑しい人生と闘《たたか》う要もなく、斃《たお》れてしまい、呼吸も思想もなくて斃れてしまい、もはやどこにも存在しなかったら!……彼はようやくの思いで着物を脱ぎ去り、そのまま床の上に投げ散らし、寝床に飛び込み、眼までもぐり込んだ。室の中には物音が絶えた。床石の上に震える小さな鉄の寝台の音しか、もはや聞こえなかった。
 ルイザは扉のところで立ち聞いていた。扉をたたいたが無駄《むだ》だった。静かに呼んでみた。なんの答えもなかった。ひっそりした様子を気づかって窺《うかが》いながら、彼女は待った。それから立ち去った。その日のうちにまた一、二度もどってきて、耳を澄ました。晩にもまた、寝る前にそうした。昼は過ぎ、夜も過
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