こと、などをその騒ぎの最中に、堂々と威儀を張って彼に言い聞かせようとした。そして自分の名刺を差し出した。クリストフはその名刺を彼の鼻先に投げ返した。
「手数ばかりかけやがる。……名刺なんかなくったって、君の名前は承知だ。君は狡猾《こうかつ》野郎で偽造者だ。君と決闘でもすると僕を思ってるのか。……懲罰、それで君にはたくさんなんだ!……」
彼の声は往来までも聞こえていた。人々は立ち止まって聞いていた。マンハイムは窓を閉《し》めた。訪問の女優は恐れて、逃げ出そうとした。しかしクリストフが扉口《とぐち》をふさいでいた。ワルトハウスは蒼《あお》ざめて息をつまらしながら、マンハイムは口ごもって冷笑しながら、ともに答え返そうとつとめた。しかしクリストフは彼らに口をきかせなかった。最も侮辱的だと思われる事柄を残らず浴びせかけた。そして息が切れ悪口の言葉がなくなってから、ようやくそこを出て行った。ワルトハウスとマンハイムとが声を出し得たのは、彼が立ち去った後だった。マンハイムはすぐ平静に返った。水が家鴨《あひる》の羽の上を滑《すべ》るように、悪口は彼の上から滑り落ちてしまった。しかしワルトハウスは恨み
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