として、笑いながら立ち去った。しかしクリストフは、自分がやっつけてやった他の音楽家からも感謝の名刺を、せんだって受け取ったことを思い出して、突然ある疑惑を起こした。彼は外に出て、最近の雑誌を売店で買い、自分の論説を捜し、読んだ……。最初は、自分は気が狂ったのではないかと思った。次には、事情を了解した。そして激しい憤りのあまりディオニゾス[#「ディオニゾス」に傍点]の編集所へ駆け込んだ。
 ワルトハウスとマンハイムとがそこにいて、懇意な一人の女優と話をしていた。彼らはクリストフの来た理由を尋ねるに及ばなかった。クリストフは、その雑誌をテーブルの上に投げ出しながら、息をつく隙《ひま》もなく、馬鹿野郎だの下司《げす》野郎だの偽造者だのと呼びたて、力任せに椅子《いす》を床にたたきつけ、異常な猛烈さで彼らに詰問した。マンハイムはしいて笑い出した。クリストフはそれを後ろから足蹴《あしげ》にしようとした。マンハイムは腹をかかえて笑いながら、テーブルの後ろに逃げ込んだ。しかしワルトハウスは、きわめて傲然《ごうぜん》と彼に対抗した。そういう調子で口をきいてもらいたくないこと、やがて思い知らしてやるという
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