。そしてその詩人をも、彼には選択の権利がなかった。彼自身もみずから選ぼうとは思わなかった。彼は自分の詩的趣味に自信がなかった。詩は少しもわからないのだと人から説服されていた。そして実際、周囲の人々の称賛してる詩が彼には少しもわからなかった。彼は例の正直さと強情さとで、それらの詩のあるものの美を感じたいとかなり骨折った。けれどその結果はいつもなんらの得るところもなく、自分自身が少し恥ずかしくなるばかりだった。いや確かに彼は詩人ではなかった。実を言えば、昔のある詩人らを熱愛していたし、それが多少の慰安にはなっていた。しかしもとより、彼は正当の愛し方をしてるのではなかった。偉大なる詩人は、たとい散文に翻訳されようとも、外国語の散文に翻訳されようとも、やはり偉大であるはずだし、また言葉は、それが表現してる魂の価値以外には他に価値をもってるものではないという、おかしな意見を彼はかつて発表したことがあった。友人らは彼を嘲笑《あざわら》った。マンハイムは彼を俗物だとした。しかし彼は弁解しようとはしなかった。音楽のことを語ってる文学者らの実例によって、おのれの専門外の芸術をもあえて批評する芸術家らの滑
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