彼女の夢想を揺《ゆす》り、彼女は知らず知らずに、自分の歩みの律動《リズム》を小川の歌に合わしてゆく。かくて音楽と詩とはともに自由のままで、その夢想をないまぜながら、相並んで進んでゆくだろう。――もちろんかかる結合においては、どの音楽もりっぱだとは言えなかったし、詩もまたそうであった。插楽劇《メロドラマ》の反対者らは、これまでなされた試みとその実演者たちとの粗笨《そほん》さにたいして、りっぱに攻撃の理由をもっていた。クリストフも長い間、同じように嫌悪《けんお》を感じていた。俳優らは、楽器の伴奏につれて物語ることだけを事とし、伴奏には気も配らず、自分の声をそれに合わせようともせず、反対に自分の言葉だけを聞かせようとつとめていて、その愚劣さ加減には、音楽的な耳に反感を起こさせるだけのものがあった。しかしながら、コリーヌのなごやかな声――流麗で純潔で、水中の一条の光線のように音楽の中に動きゆき、あらゆる旋律《メロディー》の句調に和合し得て、さらに流動自由な歌のようである声――それをクリストフは味わって以来、新芸術の美を瞥見《べっけん》したのであった。
 おそらく彼は至当であったろう。しかし彼は
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