ね。それに、どうせそうなるにきまってるよ、いつかグリューネバウムたちに知られたら……。」
「何を?」とクリストフは叫んだ、「何を知られるんだい。」
「君の情婦だということをさ。」
「僕はあの女を知りもしないよ。名前さえ知らないんだ。」
 マンハイムは微笑した。その意味はこうだった。
「君は僕を間抜けだと思ってるんだね。」
 クリストフは腹をたてた。自分の断言することを信じてくれとマンハイムに迫った。マンハイムは言った。
「それではなおさらおかしな話だね。」
 クリストフはいきりたって、グリューネバウムたちに会いに行き、事実を物語り、あの女のあかしをたてる、と言い出した。マンハイムはそれを諌《いさ》めた。
「ねえ君、」と彼は言った、「君がどんなに説きたてても、反対のことをますます信じさせるばかりじゃないか。それにもう手後《ておく》れだよ。今時分あの女は遠くに行ってるだろう。」
 クリストフは悲痛な気持になって、その若いフランス婦人の行くえを捜そうとつとめた。彼女に手紙を書いて許しを乞《こ》いたかった。しかしだれも彼女のことをまったく知らなかった。グリューネバウム家の人たちに尋ねたが、ただ
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