解こうとも思わなかった。そして車室の若い女のことを考えながら、平気でくり返した。
「あの女はフランス人らしくない。」
あたかも、いかなるものがフランス的であり、いかなるものがフランス的でないか、それを説明するのはドイツ人の役目ででもあるかのように。
フランス人であろうとあるまいと、彼女は彼の心を占めていた。彼は夜中に、切ない気持で眼を覚ました。あの若い女のそばに腰掛に置かれていた鞄《かばん》を、思い出したのだった。そして突然、彼女はまったく立ち去ってしまったのだという考えが頭に浮かんだ。実を言えば、その考えは最初から彼に起こるべきだったが、彼は思いつかなかったのである。彼はひそかな悲しみを感じた。彼は寝床の中で肩をそびやかした。
「それが俺《おれ》になんの関《かか》わりがあろう。」と彼は考えた。「俺の知ったことではない。」
彼はまた眠りに入った。
しかし、翌日彼が外に出て最初に出会ったのは、マンハイムだった。マンハイムは彼を「ブリューヘル」と呼び、フランス全体を征服するつもりかと尋ねた。そして彼はこの生きた新聞から、あの桟敷《ボックス》の一件が大成功で、マンハイムの期待以上だ
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